top of page

山下三千夫追悼展「心の眼」

2024.10.17(木)〜12.10(火)

当館の重要な収蔵作家の一人 画家・山下三千夫画伯が令和6年8月15日他界されました。76歳でした。山下三千夫は1948年、南さつま市坊津生まれ。独学で絵を学び、1967年に初個展を開催。以後、公募展などには出品せず個展のみで作品を発表し続け、全国にファンが存在します。

当館では、急遽、山下三千夫の追悼展を開催する運びとなりました。第1展示室に、1968年〜2007年までの小品からセレクトした山下作品50点を展示、さらに第2展示室には大作及び近作までを年代順で約50点展示(会期中入れ替えあり)いたします。

展示風景2.jpg

ストーリー

 山下三千夫は、児玉美術館の初代館長 児玉利武とは50年以上親交があり、多くの作品を収蔵してきた関係性の深い画家でしたが、残念ながら今年8月に他界されました。   子どもの頃から絵が好きで、中学卒業後、画家を目指して大阪、東京などで、生活の苦難と闘いながら独学で絵を描き続けました。二十歳を過ぎて間もなく結婚、その後、二児を残してパリへ渡りました。生涯特別な師は持たず、また どのグループにも属さず、個展のみで活動を続けました。 属初期の独特な心象画に始まり、パリ留学の成果、河鹿山荘での模索の日々を過ごした後、静謐な静物画と秀逸な風景画を生み出し、さらにデフォルメされた固有の女性像を完成させました。女性像には、常に自身の母親像が根底にありました。晩年になると、次第に明るい色相の作品が増えていきました。自己のスタイルを限定することなく、時代の潮流に敏感に反応しながら自分なりの表現を追求しました。今回の展示では、当館の収蔵する約200点にのぼる作品から100点を展示し、その変遷をたどります。  この半世紀、山下三千夫というフィルターを通してみる世界を、私たちはワクワクしながら観てきました。山下先生、ありがとうございました。

DSC_0009.jpg

寺尾作次郎 幼女風俗文鉢 1964

引き潮を待つ 1968
8号 油彩・キャンバス

20歳の時に描いた作品。20代前半のターコイズブルーの作品群。

曲がり道のある風景 1975
6号 油彩・キャンバス

パリへ留学する直前の作品。物語の一ページのような風景画。

DSC_0098.jpg
花を持つ女.jpg

ブーケを持って 2007
20号 油彩・キャンバス

顔のない人物を描き続けていた山下が、ついに目鼻が現れ、まなざしを向ける女性像を作り上げた。3頭身のポップなイメージの図像とは正反対に凹凸のあるマチエールには厳かな雰囲気が漂う。山下の女性像は、聖母マリアと同じ赤い衣を纏っている。

チューリッヒ郊外.jpg

チューリッヒ郊外 1999
10号 油彩・キャンバス

冬瓜と隼人瓜.jpg

冬瓜と南瓜 1996
40号 油彩・キャンバス

ベビー.jpg

ベビー(ねむる子) 2012
20号 油彩・キャンバス

大きくトリミングした顔のアップ。
​緑児の薄い皮膚の下を通る血管がうっすらと浮かぶ。山下は多くの肖像画の注文を受けていた。人物にも肉薄した表現を追求した。

木洩れ日 2023
30号 油彩・キャンバス

​晩年「光を追求したい」と、画面は透明感と明るさを増していった。

木漏れ日.jpg
bottom of page